講座(120) 〜更年期と性生活と肥満の関わり
肥満の複合要因(C)生物的と心理的(エ)
閉経後の「性生活」のありようが、
女性の肥満に深く関わっています。
1960年前後に生まれた人たちは、
性に対する閉鎖的な考え方の人が多くおられます。
「性」とは「生きる心」と書きます。
この性のあり方は、夫婦、パートナー同士の
「心のありように」に重大な影響を与えています。
影響とは「生殖の性」と「快楽の性」の混同です。
生殖の性は、次世代に自己の遺伝子を繋ぐ行為です。
ところが、人間には他の動物にはない「快楽の性」を獲得しています。
多くの動物は、発情期があり、交尾が限定的ですが、
人間は年中、発情することができます。
更年期以降の性生活は「快楽の性」を享受できる年代です。
しかし、多くの人たちは、
「いい歳をして、いまさら〜」と考えがちです。
この原因は、生殖中の性行為の動機が、
快楽の性であり、その結果が生殖の性になっていた、
という実体験の積み重ねが、
「いまさら〜」との思いになっているのではと考えられます。
この思いには、個々の体験によって大きな格差があり、
一概には言い切ることはできませんが。
しかし、以前に述べた通り、
性欲と食欲は同源である女脳の生物的な特性は、
年代や更年期に関係ないシステムですから、
性欲の未達成感を食欲の達成感によって「満足」を求めます。
この本能的、代償的な欲求は、過食へと追いたて肥満を生じさせます。
閉経期以後の女性の肥満を防ぐためには、
男性の渾身の努力が必要なのです。