講座(89)男女の脂肪のつき方の違い(1)
先に指摘しました「性別・年代別」のメタボリックシンドロームの
該当者及び予備群者の統計数字に問題があります。
その核心は内臓脂肪型肥満の判定基準が「女性:90cm以上 / 男性:85cm以上」
となっていることです。
男性よりも女性の腹囲(ヘソ周り)サイズが太いことです。
この矛盾を生物学的な視点から見ると明確にわかります。
すなわち、男女には脂肪のつき方の違いがあるのです。
男性と女性では、脂肪という予備のエネルギー源を
貯蔵する部位とその脂肪の使われ方が違います。
男性はすぐにエネルギーとして使えるように
脂肪は腹腔内に優先的に蓄えられます。
男性の肥満の始まりは「太っ腹」なのです。
男性が過食すると、内臓脂肪になりやすいのです。
内臓脂肪と皮下脂肪の使われ方の主な違いは、
エネルギーとしての変換が早いか遅いかの違いです。
男性は狩りや農作業に使うエネルギーが
直接的に必要となりますから、
すぐに変換できる内臓脂肪に蓄えるように
遺伝子に組み込まれているのです。
腹部肥満解消という観点からは、
同じ腹部の脂肪であっても、
内臓脂肪は早く、皮下脂肪は時間がかかることになります。
このように、男性肥満者の腹部は太いのが通例です。