講座[(46) 肥満の原因論(その2) 「あまり食べていないのに太る」


食事を始めて約10分後に血中のブドウ糖の濃度がピークになります。

それにつれて、すい臓からのインスリン分泌量が増加し、

ブドウ糖を脂肪細胞に取り組む働きをします。

この役割が終わると自然に血中のインスリン濃度が低くなります。

これが普通の健康な人の状態です。


ところが肥満者の中には、

血中のインスリン濃度が低くなるべき「空腹時」でも、

なおインスリン濃度が高い状態の人がいます。

すなわち、インスリンの垂れ流し状態が続いているのです。


この高インスリン状態の肥満者は、空腹でなくても、

絶えず、生理的な食欲が生じてきます。

この結果、ますます肥満します。


なぜ空腹ではないのに食欲が生じるかと言えば、

インスリンは、

摂食中枢神経のブドウ糖感受性ニューロンを刺激して、

食欲の活動を上昇させる作用があるからです。


この状態の肥満者は、食べる量がそれほど多くなくても、

絶えず血中のインスリン濃度が高いので、

少量の食べ物でも効率よく脂肪に合成されて、

さらに太ることになります。

「あまり食べていないのに、すぐ太る」理由の一つです。