「肥満は悪くない?」って本当か? (その5)〜メタボ対策への影響(号外)

2010年3月6日(土)午後10時から放送された
NHKの[追跡AtoZ]「肥満は悪くない?」という番組を見た人たちは、
「肥満しても大丈夫なのだ!」
「やせなくてもOKだ!」などと誤解している人が多い。
誤解されている根拠については(その1〜4)で述べた通りである。


「肥満に対する考え方が変わった」と主張するのであれば、
もっと科学的な根拠を示すべきだと思う。
例えば、ネズミや5kg体重が増えた男性、
また、力士も普通体形の人も、
それらの被験動物・人の標本数が100以上あり、
統計的に証明されているのか不明である。


ところがその影響は、誤解だけではすまされない問題を抱えている。


厚労省が推進しているいわゆる「メタボ健診」の
受診率が低迷している。
各市町村や健保組合は、受診率を上げるために必死になっている。
メタボ健診と言われている「特定健康診査実施率」の標準率は、
市町村国保は65%、民間の健保組合は70%〜80%と設定されている。
ところが、その受診率は10%台の市町村が多いのである。
多くの健保組合は、目標の標準率の達成は不可能な状況である。


その他「特定保健指導の実施率は45%」、
「メタボの該当者及び予備群の減少率は10%」と設定されている。
それら三つの標準率が未達成の場合はペナルティとして、
後期医療制度への支援負担金が10%以内増額されようとしている。


ところが、現政権は後期医療制度を廃止すると明言している。
廃止後もペナルティ制度が継続されるか否かは現在不明である。
継続されると、ますます財政の悪化に拍車がかかることになる。
そのつけは、保険料率の上昇、すなわち、国民負担に転化される。
ですから、市町村も公金を使って受診促進の広告宣伝を
必死になって展開している最中である。


このような情勢の中「肥満は悪くない?」と放映されると、
被保険者とその扶養家族の受診率は
さらに低迷することになるだろう。
市町村などの担当者は、
頭から冷や水をかけられた思いをしているのではないか。


「メタボ対策」にも「NHK」にも膨大な税金が投入されている。
肥満・メタボ対策によって医療費を抑制しようとしている厚労省
肥満は悪くないという誤解を与える番組を流すNHK総務省


国民は股を裂かれる思いで、惑う。