「肥満は悪くない?」って本当か? (その2)〜異所性脂肪について(号外)

2010年3月6日(土)午後10時から放送された

NHKの[追跡AtoZ]「肥満は悪くない?」という番組を見た人たちは、

「肥満しても大丈夫なのだ!」

「やせなくてもOKだ!」などと誤解している人が多い。

なぜ、そのような誤解を与えたのだろうか。


番組の制作意図及び情報内容はともかくとして、

「一般人普通体形=非肥満者」を前提にしている。

「体格が大きい=BMI値が高い=肥満者」という

先入観で番組が構成されているが、

両者の体脂肪率(体重に占める脂肪量の割合)が

明示されていないので正確な事実は不明である。

しかし、「脂肪量」を測定すると、「力士=非肥満者」、

「一般人普通体形=肥満者」であったかもしれない。


異所性脂肪が沈着するのは、

「肥満者」「非肥満者」に関係がないのではないか。

その人の「食生活のありよう」と

「慢性的な運動不足」が問題である。

異所性脂肪の主な原因は、

肉類のラード(脂身)の過剰摂取と運動不足である。

販売されているハンバーグやミンチ肉などに多く含まれている。

肉類に付着している白い脂身である。


弥生人の遺伝子を引き継いでいる大多数の日本人は、

農耕民族である。

狩猟民族の欧米人と比べると、

農耕民族は肉類(脂身)を消化吸収し同化させるために必要な

インスリン分泌の能力はほぼ半分である。

欧米人が200gのステーキを食べるのと、

日本人が100g食べるのと消化吸収能力はほぼ同じである。

だから、肉類のラードの消化することができず、

異所性脂肪として蓄積されているのである。


米国人は超肥満者が多いが、糖尿病の発症率は日本人より低い。

3人に2人が肥満か肥満傾向者の肥満大国の米国では、

肥満に関わる,医療費が年間1,000億ドルを超えている。

また、死亡者数は40万人を超えているといわれている。

日本人は糖尿病が国民病といわれるほど多く発症しているが、

米国人のような超肥満者は少ない。

異所性脂肪による糖尿病の発症原因とともに、

農耕民族と狩猟民族の遺伝子の違いがその原因である。


ファーストフードや外食に依存している人ほど

ラードの摂取量が多くなる。

家庭でのハンバーグの食材に

安いミンチ肉を使っている場合も同じである。

揚げ物やコロッケなどをカラッと揚げるために、

油にラードが混ぜられているケースもある。

それらを常食している人は、肥満者か非肥満者に関係なく

異所性脂肪を蓄積していると思われる。(続)